不払い(サービス)残業根絶、雇用の拡大を求める意見書(案)


 「不払い・サービス残業」=賃金未払いは、労働基準法で懲役6ヶ月以下もしくは30万円以下の罰金とされている法違反です。ところが、フレックスタイムや裁量労働制の導入のなかで、企業が「残業は月に○○時間まで」などと手当支給の制限枠を設け、実際に労働者がどれだけ多く働いても目標時間内で「自主申告」させている例が少なからず報告されています。また官公庁でも、部局によっては「不夜城」と言われるほどに長時間労働が常態化し、限られた予算では残業代も請求できない(しない)例が珍しくありません。

 昨年6月末に労働省が大手の電機メーカーに出した是正勧告は大きな反響を呼びましたが、不払い(サービス)残業は、単に最低の労働条件を定めた労基法に違反するだけではありません。「電通過労死裁判」などが断罪した長時間・過密労働の常態化につながり、働く者から生き甲斐や働きがい、ゆとりを奪って心身の健康をむしばみ、子育てや家庭にも重大な弊害を及ぼします。さらに、企業に本来必要な人員や人件費など必要コストの実態を覆い隠し、労働者への犠牲転嫁にも鈍感になって、健全な企業経営を誤らせることにもつながります。

 財界の調査研究機関・社会経済生産性本部の試算でも、「サービス残業をなくせば90万人の雇用が拡大できる」と指摘するように、労働時間短縮、不払い(サービス)残業の根絶は、深刻な失業・雇用情勢を好転させる一つの契機ともなり、就職難に悩む青年や、職探しに疲れた中高年失業者を励ますことにもつながると思われます。

 よって、政府におかれては、下記の事項について最大限の努力を払い、違法な不払い・サービス残業を根絶し、労働時間短縮に努めて深刻な雇用状況の打開をはかるよう、強く要望いたします。

 

 

1.このところきわめて深刻な状態で推移し、戦後最悪の状況に陥っている雇用・ 失業問題の解決のためにも、労働時間の短縮に努め、政府公約の「年間労働時間 1800時間」を早急に実現すること。

 

2.とりわけ「法律違反の不払い(サービス)残業」については、事業所に「労働 時間管理台帳」の設置を義務づけるなど具体的な手だてを講じ、早急にその根絶 をはかること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

 

  平成13年  月   日

 

愛知県○○○議会

内閣総理大臣 宛て


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