日頃、労働者の迅速な救済のためのご努力に敬意を表します。
長引く不況の中で、解雇・賃金不払いなど、私どもの行っている労働相談の数は増すばかりです。その中には法的な救済手続きをとるものも少なくありません。しかし残念ながら、その多くは地労委ではなく直接裁判にかけることが多くなっています。この1年間に愛労連が関係した事件は49件ありますが、そのうち地労委を利用した事件は10件にとどまり、他の事件はほとんどが直接裁判になっています。
労働組合がより費用のかかる裁判に頼るのには、地労委制度そのものの問題点もありますが、愛知地労委の問題点も少なくありません。最大の問題点は労働者委員全員が一部の労働団体推薦者で占められており、その他の系統の労働組合は日常的に相談できる労働者委員が一人もいないことです。
私どもは先月「全国最悪の長期審理『却下』事件となった『スミケイ運輸事件』」のレポートを発表しましたが、ここにもあるように、全国的にも最悪のケースといえる審査もありました。連合系労働組合のある大企業における少数組合の事件では愛知地労委は全くといっていいほど機能を失っています。
また、地労委係争中に不当労働行為が発生・継続している場合に、裁判所では裁判官に訴えることで相手側に意見を伝えることができますが、愛知地労委では「申し立て事項にない」と取り扱ってもらえませんでした。
私たちは愛知地労委が多くの困っている労働者の救済にさらに大きな役割を発揮されるよう期待して下記のように要請いたします。
記
(1)労働者が地労委に申し立てたこと、また傍聴など地労委にきたことをもって不当な差別や攻撃がされることの無いようにすること。使用者がそのような言動をしたり、労働者から訴えがあった場合には調査の上、使用者に対して指導すること。
(2)和解にあたっては当事者まかせにすることなく、公益委員から積極的に関与すること。
(3)労働者委員は労働者の声を直接聞き、要請された場合には現場に足を運ぶなど労働者の立場から解決にむけ積極的な役割を発揮すること。
(4)迅速な審理を進めるため、事務局は争点整理や、審理の途中で進行について整理し、申し立て組合に説明すること。
以上