介護保険、不安を残したままのスタートが浮き彫りに

 

はじめに

 国民の不安を残したまま、この4月から介護保険がスタートしました。 

 介護保険制度は、「介護を必要とする高齢者を社会全体で支え、家族介護の負担を軽減する」目的でつくられましたが、法律制定当初から多くの問題点が指摘されてきました。

 国民世論と私たちの運動で、国や市町村は一定の改善をしました。市町村では、低所得者に対する保険料や利用料の減免制度、介護サービスの上乗せ・横だしなどわずかながら独自施策を行う自治体もあります。しかし依然、低所得者に対する保険料や利用料の減免、ホームヘルパーの大幅な増員や特別養護老人ホームなど介護基盤の充実、実態にあった介護基準の改善など、解決されていません。

 介護保険スタートのこの現時点では、要介護認定やケアプラン作成がおくれ、介護基盤が不足しているため希望する介護サービスが受けられない、介護申請をしたものの、利用料の1割負担で介護保険が使えないなどの問題が発生しています。

 

 愛労連は、これまで国に対する要請署名とともに、愛知社保協と共同して88市町村・自治体キャラバンを実施し改善の運動をすすめてきました。

 また、介護保障の充実を求める運動の中で、名古屋市内の各区のあんきの会、豊橋の介護を良くする市民の会や蒲郡社保協などが結成されてきています。(別表)

 介護保障を良くするのは、私たちの意識、運動です。国の責任を明確にした要求運動と同時に介護保険の実施主体である地方自治体・市町村に向けた運動が重要です。

そのためには組合員のみなさんが住んでいる地域の介護保障の運動にぜひ参加されるよう希望します。

 

介護アンケートを取り組んで

 昨年の10月から取り組んだ介護アンケートは、組合員の介護保険に対する意識が一定明らかになりした。また日頃職場では明らかにされにくい、組合員の家族介護の大変さなど、リアルな実態や介護保険に対する想いも率直に書き込んでいただきました。

 この調査をいかし、これからの介護保障充実に向けた要求・運動に反映させたいと思います。

ご協力ありがというございました。

2000年5月

介護・年金・社会保障対策委員会

 

集計表はこちらです(Excel.97以上)

アンケート結果について(回答数は3544枚、組織の約5%)

 介護アンケートは、各組合に一定部数配布し、増し刷りをしてもらいました。

 回答数は3544枚で組織数の約5%にあたります。取り組まれた組合は自治労連、愛知国公が3544枚のうち95%以上で、その他に医労連、郵産労、建交労、名中センター、豊田・加茂労連、守山労連です。この結果、アンケート結果は公務員中心になりました。

 以下、アンケート結果を紹介します。

【問1.在住の県、市区町村名】

 省略

【問2.職場名】

 

 省略

【問2.性別】

 性別は男女同程度となりました。但し、自治労連が女性部を中心に取り組んだ結果、自治労 連は男女比率が女性2:男性1の割合でした。国公が男性からの回答が多かったので、比率的 には同程度となりました。

 

【問2.年齢】

 

 年齢は、40代が1202人、50代が855人、30代が835人の順になっています。40代、50代は親の介護問題や自分の老後のこともあり、身近に感じているようです。また、介護保険料徴収が40歳以上ということもあったかと思われます。

【問3.介護保険制度についてご存じですか】

 

 介護保険については、「知っている」26.72%、「少しは知っている」63.40%、「全然知らない」9.76%となっている。

【問4(1).介護保険の保険料は40歳以上の労働者から天引きされるのを知っていますか】

 

 はいと答えた人が79.99%。8割の人が知っていました。

【問4(2).あなたが払う保険料はいくらぐらいになるか知っていますか】

 

 はいと答えた人は16.3%。いいえが81.86%。圧倒的にいくらになるかは知りませんでした。額については、65歳以上の高齢者については、マスコミ報道でも頻繁でしたが、40歳以上64歳まではあまり問題にされていなかった状況が反映しているのではないでしょうか。

【問5.介護保険で何を改善してほしいと思いますか】

 

 必要なサービスが受けられるが66.56%。介護の認定基準が39.76%。保険料が36.85% と続きます。回答者が40代、50代が多いので、保険料や利用料より、介護内容についての関心が高かったのではないでしょうか。また、この頃、介護基盤の充実や認定問題でかなりマスコミが報道していた結果かもしれません。

【問6(1).あなたの家族に要介護者がいますか】

 

 はいと答えた人が8.83%。約1割近くいました。

【問6(2)イ.要介護者は誰ですか】 ※問6(1)ではいと答えた方のみ

 

 父母が64.86% 、祖父母が20.13% 、自分の配偶者を介護している人も5.43%ました。

【問6(2)ロ.介護者は誰ですか】 ※問6(1)ではいと答えた方のみ

 

 配偶者が40.26%、本人が24.60%です。仕事をしながら介護をしている人が4人に1人はいるということになります。大変さが想像できます。

【問6(2)ハ.要介護者は何人いますか】 ※問6(1)ではいと答えた方のみ

 

 1人が80.51%、2人が10.86%それ以上が4.15%、3人以上いる人もいます。

【問7.受けているサービスの内容についてお答え下さい(複数選択 )】

 ※2人以上介護されている場合は1人に絞り、188名が回答

 

 回答者が188人いました。老人保健施設や特別養護老人ホーム など施設入所が30.85%で約3割。7割の人が在宅介護をされています。

【問8(1).在宅で介護されている方で、今受けているサービス量で足りていますか】 ※回答者は116名

 

 回答者は116人いました。足りていない人が66.38%、足りている人は33.62%です。

【問8(2).在宅で介護されている方で、介護保険で引き続きサービスが受けられますか】 ※回答者は123名。

 

 受けられないと答えた人が60.16%。比較的軽度の要介護者というわけでしょうか。認定基準すれすれと考えている人たちが多いようです。

【問9.介護で苦労しておられること、おられたことなどお書き下さい】

 仕事をしながら介護をしている人の苦労がリアルにかかれていました。

 介護は1年365日24時間。在宅介護は、精神的にも、肉体的にも、金銭的にも大変です。

 また、施設を申し込んでも不足で入所できない。施設介護も、「人間の尊厳が保障される介護」をというのが家族の望みです。故に介護保険に対する思いは金銭的負担を含めて、安心して受けられる介護保険にしたい。

 また、介護休業制度の充実(法律は3ヶ月)を望む声もありました。改善運動を各組合でおこないましょう。

 

(詳細はこちらへ→)

【問10.ご意見や要望があれば自由にお書き下さい】

 介護保険に対する不安・危惧がたくさん出されました。保険料を払っていざ自分が介護を受ける身になった時、介護は受けられるのか疑問視する声が多く出されていました。また、介護保障は国や地方自治体の責任でおこなうことを求めています。

 必要な時、必要なだけ受けられる介護保障制度に、みんなの願いです。

 

(詳細はこちらへ→)

 


 

○愛知県労働組合総連合

○愛知県社会保障推進協議会

名古屋市熱田区沢下町9−7労働会館東館  TEL052-871-5433


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